デクロワッサンス

クロワッサンといえば三日月型のパンのことなのたけれど、正確に言えばこれは上弦の三日月を指す。音楽用語のクレシェンド、つまり「だんだん大きく」と同じ意味を持っている。

で、表題のデクロワッサンスは下弦の月、音楽用語でいえばデクレシェンドとなるわけなのだけれど、フランスでは社会経済学的な概念としてこんな言葉が存在し、新聞や政党の名前にさえも使われているということをミクシィのともだち経由で知ったのが6〜7年前のことで、これが自分には衝撃的だった。

弦月

つまり、こんな概念を表す言葉が”普通に”存在しているということに対して。日本語では未だ翻訳語としてすら定まらないのではなかろうか。

その後、スティグリッツやクルーグマンに興味を持ったのも、きっかけはこのデクロワッサンスという言葉の存在だった様に思う。

タイニーなライフスタイルを考えるとき、自分的にはBライフという選択肢という記事でも書いたのだけれど、その動機としては漠然とした反現代文明とか反社会的な理由が大きい。そしてその根源的な部分には”経済の発展”という暗黙の共通認識への疑問がある。

それは皆…とは言わないまでも、懐疑的な流れは存在すると言われるかもしれない。ただ、croissant から俯瞰して crescent、(in)crease、create…creative と辿って行くと、どんどん否定しづらくなるのではないだろうか。”私たち”はいかなる場合においても常に”創造的”でありたい、のである。

ツイッターを眺めていたら興味深いグラフが紹介されていたので引用させていただく。

これはもしかしたら”いびつな満月”を示しているのかもしれない。

昨年の国連総会とほぼ時を同じくして表面化したシリアの難民問題は、法整備と政治的な取引で表面的には沈静化した様に見える。

三日月はイスラムを表すシンボルでもあり、また、肥沃な三日月地帯と呼ばれた土地に繰り広げられるこの不幸な出来事を「悲しき熱帯」風に読んで、西側諸国の新たな経済的創造性として話を締めくくるのはかなり無茶な話ではあるのだけれど、食べる方のクロワッサンの由来なども調べていると、もともとウィーンに攻め込んだトルコ軍を追い払った際にトルコ軍の国旗にあった三日月を模したのが原形などという説もあったりして、あながち違う意味のデクロワッサンスとこじつけてもそれはそれで収まりそうなところが悲しい。

ただ、年齢的にも自分はすでに下弦であることを自覚出来る年頃なのだけれど、上弦の人たちにこれを言うのは少々酷な話なのかもしれない。とも思う。

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