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田舎の山で犬小屋暮らし

なんでも、柴犬には良い柴犬とダメな柴犬という規格があるのだそうで、いや、ダメな柴犬という規格は無いのかもしれないが、良い柴犬という規格がある以上は必然的にそれ以外というのがある。良い柴犬は賞をもらって、その子供は高く売れたりするのだろう。知り合いにそんな「良い柴犬」を育てている人がいて、品評会に出すために柴犬を何頭も飼っているのだけれど、体格が良過ぎたり、歯が一本足りなかったりしたら、どう足掻いても賞はもらえないのらしい。とりたてて犬好きとか柴犬好きとかいうわけではなかったのだけれど、そんなダメな柴犬たちの待遇を何となく想像して「もしよかったら預からせてもらえないか?」という展開で1匹また1匹と増え、いつの間にか4匹の柴犬たちと暮らす様になった。

4匹もいると、住宅団地の中ではさすがにご近所の目も気になってきたので、避難場所としていつでもすぐに連れていける様な距離で郊外の安い土地を探した。無計画な上に急な話だったので、自分たちが買える土地の値段なんて本当にたかが知れていたが、安く譲ってもらったその土地にはログハウスまで建っていた。何とも立派な犬小屋である。相方と急ごしらえでフェンスを作って犬たちを連れて行った。犬たちは気に入ってくれたが、それ以上に人間たちがそこを気に入ってしまった。連れて行った日以来、10分ちょっとの距離にもかかわらず自宅で寝泊まりすることは無くなって、煎餅布団で犬たちと思い思いに雑魚寝というこの犬小屋暮らしが突如として始まったのが、2014年の5月頃の話。

煎餅布団と犬たち

à la niche

ブログタイトルの ”à la niche” は、日本で犬の躾をするときに使う「ハウス!」の様なニュアンスのフランス語。ちなみに、英語圏で ”house!” というコマンド…というかその必要性があるのかどうかは知らない。上記の ”à la” は英語でいうと ”at the” とか ”to the” くらいの意味らしいので、日本語に直訳すると「犬小屋にて」といえないこともない。

”niche” はフランスでは慣用的に犬小屋を示す様なのだが、日本風に英語読みすると昨今はマーケティング用語でおなじみの ”ニッチ” になる。ラテン語で【巣】を表す ”nidus” が語源だそうだが、そこから派生して窪みや隙間を表したり、転じて全体の中に占める特定の範囲を相対的に表したり、またそこから”適所”という意味で使われている語の様である。

そういう意味ではここはまさに、社会の隙間であって、小さな生態的範囲であって、適所であるし、巣であって何より犬小屋である。

フェンスと犬たち

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当ブログの管理者【犬のしっぽ】

貧乏をこじらせて年々ミニマルな生活を志向する様になっていた矢先、思いがけず理想的な生活の拠点を得て、調子に乗ってこのブログを始める。

40代後半。男性。自営業。

犬のしっぽ

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