土壌と人体のマイクロバイオームは繋がっていないと考える方が不自然じゃないかな

1年ほど前に水上勉の「土を喰う日々」を読んで、何となく精進料理というものに興味を持った。この本はアイヌ人が珪藻土を食べた様な意味で土を食べることについて書かれた本ではないし、畑で採れた野菜を洗わずに料理するとかいう意味でもないのだけれど、タイトルから伝わったニュアンスと読後の印象はそれほど違ったものではなかった。

ここ数年の遺伝子の解析技術の進歩は驚異的で、それを元にして急加速した研究は多岐にわたるのだろうが、そんな中に腸内フローラとか腸内細菌叢とか呼ばれているものの研究があって、これはとても興味深いものである。

人の体には人体を構成する細胞の10倍の数の細菌がいて・・・というイントロ部分で既にガッツリと目が離せなくなってしまう。考え様によっては、細菌叢が人体に寄生するというよりも人体が細菌叢に寄生しているのである。これは楽しい。そして、そう考えることの方が自分の直感的な生命のイメージとも符合する。

とにかく、この分野は関連する基礎研究的なものも含めて非常に示唆に富んでいるジャンルだと思う。これまでは摩訶不思議な何らかの「傾向」として経験的にしか言及できなかった様な事柄も、物理的に関連付けながら証明できる様になる事もあるだろう。

で、このヒトマイクロバイオームについて書かれたものを読んでいると、丸かぶりするのが炭素循環農法の土壌の微生物叢である。

土と微生物

きっと土壌と人体のマイクロバイオームの構成は、似通っていたり、一部を重複したひと繋がりとして捉えることができたりするのではないかと想像する。

人間【human】の語源はラテン語で土を意味する【humus】なのだそうで、これは単なる精神論や神話的な意味合いのみならず、意外と科学的な事実なのかもしれない。と考えるのが楽しい。