畑の土に入れるもの、人の体に入れるもの

先日、酵素栄養学について書かれている小冊子を読んだ。炭素循環農法や腸内フローラに興味を持っているところなので、微生物の作用や発酵などのキーとなる酵素の働きがとても興味深く、しかしこれがまたエラく難しい分野でもあるので取り付きにくくもある。

微生物のはたらきを何とか直感的に感覚で掴みたいというのが目下の希望なのだけれど、すぐに結論の出る様なことでもないので単純な仮説を積み木の様に組み立てては崩しながら脳内で弄んでいる。

で、酵素栄養学の本を読んでいろいろと学ぶことも多かったのだけれど、少し疑問に感じた部分が残っているので書き残しておきたい。

酵素栄養学を基準にして食事を組み立てると、酵素を多く含んだものを取り入れるという理屈からローフード(生食)がそのメインストリームになるのらしい。確かに、野生の状態においては食材を加熱するなどということはないのでこれは理に適っていると言えるかもしれない。

ただ、感覚的に、たとえばこの辺りの山もちょうどこれから山菜のシーズンを迎えるのだけど、山で採ったものなどはスーパーに並んでいる生野菜と比べても香りやアクが強いものばかりで、生で食べられそうなものはそう多くはない。また、スーパーに並んでいる一般的な野菜は肥料による硝酸濃度が高かったり残留農薬があったりもするので、加熱処理する過程である程度それらを減らさなければならなかったりもする。まぁそれらは高度経済成長期以降のことであったと差し引いたとしても、伝統的な食事のメニューで生食出来るものはごく限られている。生活習慣病をその因果と論ずるにはこの辺りが矛盾する。

炭素循環農法では、土壌中の微生物叢を健全に作用させるために肥効成分は投入せずその代わりに炭素資材を土に入れるというのがその理屈である。昨今はEM菌などの微生物そのもの、また、酵素そのものを資材とする農法も有る様なのだけれど、炭素循環農法ではあくまでも元々そこにいる土着菌叢をベースとしてその作用で酵素も発生しながら作物を成長させる森の土と同じ理屈で好気発酵の条件を人工的に作る。

思うに、これは腸内細菌叢にも言えるのではないかと仮定すると、そこに入れるべきは菌や酵素そのものではなく、炭素循環農法で言うところの炭素資材なのではなかろうか。具体的にそれは何かといえば食物繊維なのではないかと思っている。単純にして言えば腸内細菌のエサである。(蛇足の追記:腸内細菌のエサはオリゴ糖というのが一般的な認識。食物繊維と糖類はいずれも炭水化物(炭素)である。)

あくまでも自分の想像を超えないが、逆算すると頷けることなどもあったりするので、当面はこんな理屈で作物と食を考えてみたいと思っている。

ついでにもうひとつ覚書をしておくと、ここ数年で酵素はいろいろな分野で爆発的に商品化されているのだけれど、酵素について調べていると商品化された酵素はなかなか恐ろしくすら思う様になる。酵素は遺伝子の一部をその設計図として作られるらしいのだけど、たとえば遺伝子組み換え食品については議論もされるが、それを応用した人工的な酵素についての議論を聞いたことがない。

・・・・・

昨日久しぶりに降った雨で、先日キッチンガーデンに蒔いた何かの芽が出てきた。ほうれん草か赤カブかブロッコリーなのだけど、どこに何を蒔いたか忘れた。そのうちわかる様になるだろう。

芽が出た。

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする