ゼロから始める炭素循環農法(笑)

ということで、前項からのつづき。

炭素循環農法というのは、無施肥・無防除で、おまけに水もやらないという農法で、その代わりに高炭素率の炭素資材を土壌の表層に施すことによって、土壌中の微生物が好気条件で炭素を分解(発酵)して作物に必要な養分を供給するという理屈なんだそうで、自然の中の植物と土壌微生物の共生関係をある程度人為的に畑で再現するのだけれど、それが上手く再現できれば作物には虫がつかず、土壌も深くまで団粒化して、もちろん、過剰な施肥による硝酸たっぷりの土壌や作物になるはずも無く・・・ということで、この先平均寿命まではまだ何十年か、金はないけどのんびりした生活がしたいと思う様な家庭菜園レベルにはぴったりの農法だと思い、最近は気付けば結構な勢いでその情報集めにどっぷり浸かっている様な気がする。

で、炭素循環農法を始める際にまず避けては通れない事柄として、炭素資材の確保をどうするかということがある。

ここは幸いというか、周りは山に囲まれているので、炭素資材は量的には確保できそうである。剪定枝や朽ち木などを鉈やハンマーで砕いていたのだけどけっこう時間がかかるので、継続的に炭素資材を畑に投入するという前提で、しばらく(さんざん)悩んでガーデン・シュレッダーなるものを購入した。ネット動画を見比べたり、近所の人が持ってるカッター式のものの話を聞いたりして、結局ギア式のものを選んだ。下記のページで購入したが、使ってみた感想はここのレビューにおよそ書いてある通りの印象。値段の割にはなかなか良い感じ。

そして、畑を「生きた」状態にするためには、炭素資材もさることながら微生物そのものが重要であるはずで、出来るだけ早く実際に作物を育てて根と微生物の共生サイクルをスタートしてその環境を整えたいので、まずは1畝ずつ畑の形にしていくことが当面の作戦になっている。

とりあえず、レイズド・ベッド型っぽいの1つ目の畝の形が出来たので、

IMG_2379

薪用に玉切りにしたまま何年も放置してあった朽ち木を砕いたものや、畑の周りの木によじ登っていた葛の蔓を切ってあったものをシュレッダーにかけて畑の表層にまぶしてみる。調べてみると、葛の蔓はカルシウムやポリフェノールがたっぷりなんだそうで、炭素循環農法に限らずとも畑に入れる素材としては良さげな予感がするので、上手く行けばそれなりに効果有りかもという希望も込めつつ。

ちなみに、この畝の幅は120cm、畝の高さは約25cmほどで、本当ならば枠の無い普通の畝で畝幅もギリギリ(必要十分なだけ)狭くして、高さももう少し(30cm以上)高くした方が通気性(排水性)は良くなるだろうと想像するのだけれど、全体の作土の量が現状では把握できないのでとりあえずの急場凌ぎの形。でも、レイズド・ベッドの外観も見た目的には嫌いじゃないので、畝in畝とか、今後植替えするときにでも発展系があるかも。

IMG_2387

このタイミングで、近所のホームセンターで間延びした夏野菜の苗が半額で並んでいたので、何種類か購入。

IMG_2388

一作目ということで、作物よりもまず土を作りたいという意味合いが強く、とりあえず早速植え付け。

ちなみに、ひと畝目はとりあえず夏野菜の定番、ナス、キュウリ、トマトを4株ずつ。

IMG_2390

更にその上から、剪定した枝などをシュレッダーにかけてマルチがてら表面に散蒔く。

IMG_2406

二畝目に取りかかろうかという頃、今度は、以前事情を話していた近くの農家の人から、堆肥にするための廃菌床が畑に届いたという連絡をもらい、一輪車に何台分か分けてもらって、新鮮なうちにさっそく表層にまぶす。

IMG_2456

廃菌床が乾燥し過ぎない様、その上から草むしりして積んであった半生の雑草でマルチング。

IMG_2502

続いて、二畝目もやっとで地盤を整え終わってレイズド・ベッド型に。

IMG_2545

籾殻をまぶして昨秋から積んであった赤土を入れて、通路に広げて雑草マルチしてあったこの間の菌床の残りを二畝目の表層にまぶす。

IMG_2564

二畝目も早く作物を植え付けたいということで、何となく植え付けの時期かな?というサツマイモを定植。

サツマイモは一般的に砂質の畑でよく育つと言われるが、この辺りの粘土質の赤土で作ると甘みがぎゅっと詰まったいいサツマイモになるとは、昨年近所の人にサツマイモをいただいた際に聞いて身をもって頷いた話なのであるが、冬に薪ストーブの灰の中で焼いた焼き芋の甘さが頭をよぎる。

IMG_2582

そうこうしているうち、近所の人の日雇いバイトのピンチヒッターで竹林の伐採現場の手伝いにいくことになり、帰りがけに大量の竹チップを頂いたので、畝はもちろん、畝間の通路部分にも雨の日のぬかるみ対策も含めて大量投入。

IMG_2702

IMG_2708

とりあえず、炭素資材に関しては、かなり幸先の良いスタートを切っている感じがするということで、これが3〜4日前の写真で、やっとでブログがリアルタイムに追いついたところ(笑)

ちなみに、この畑は、朝食用のジャガイモがどうのこうの言ってなかったっけ?って話なんだけど、ジャガイモは先行してこれも炭素循環農法で作った建物の横の小さな畑で順調に(少なくとも地上では順調過ぎてバサバサと茎が倒れるくらいに)大きく育っている。

IMG_2722

(追記 7/28)

またしばらくブログを放置している間に
、そろそろ夏野菜の収穫がはじまっている。

image

今のところ、出来はまずまずという感触。

比較のし様が無いのだけれど(笑)

上記の記事から現時点までに気付いた事などを、忘れないうちに覚え書き。

・定植前の土づくりとして、表層の土と炭素資材の混和を、もう少し注意深くやるべきだったか?(定植以降はしづらい作業であるので。)

・現在までの様子で、虫が結構いる事が気になる。作物への直接的な影響は、幼苗期の根切り虫が顕著だった。アブラムシ、てんとう虫ダマシ、コガネムシなどがいる。

・竹チップは菌床の上からマルチ代わりの意味で施用した事もあって、厚みが平均7〜8cmで鋤きこまずに表層を覆っているが、早い段階で菌床はその姿を確認できないほど分解されている様子で、現状では竹チップが炭素資材としての役割を担っているものと思われる。いくら何でも1度に大量に投入し過ぎたか?その後で菌床を投入するにあたり、その混和の仕方を悩み中。菌床を竹チップでマルチするというレイヤードを希望するのだが。

・苗は安売りのものではなく、生育状態の良いものを選んで定植すべし。

・トマトの苗は、ハウス栽培に特化させた系統のものは、雨だけでも暴れた感じになるのかも。(肥料も水も与えていないにも関わらず、窒素過多の様な症状… 茎が太くなる、葉色が濃い、葉が巻く、茎に窓が開く、などの症状が見られたことから逆算して。一応、実はそれなりについているが。)

・トマトは上記の症状に対して、葉を半分に切る、支柱を斜めにして樹勢を落とすなどして、現在も経過観察中。

・また、幼苗期に根切り虫にやられて瀕死になっていたトマトの苗に対して、接ぎ木部分よりも上まで土をかぶせて根出しし直したものについては、その後暴れた感じもなく順調に成育中であるので、接ぎ木苗の台木に問題があるのかも。

・トマトの主茎と脇芽の区別は、案外難しい場合があるので、迷ったらしばらく放置してよく観察する。

・トマトの脇芽は、摘んだのをそのまま刺しておくと、かなり容易に挿し木可能。

・苗の時点でうどん粉病みたいな感じだったキュウリの苗は、その後の成長に伴い自然に症状が消えていった。

・キュウリにうどん粉病の症状が見られた頃に発生したアブラムシは、症状が消えるとキュウリからはいなくなったが、となりのナスに移動して現在もご活躍中。

・キュウリは一旦実が成り出すと、結構うざい感じ。自家消費分としては、苗が1本か2本あれば十分な感じ。

・苗を購入して定植するまでの間に誤って主茎を折ってしまったキュウリの苗は、それでもそのまま定植して経過を観察していたが、枯れはしないものの成育もしなかった。

・ナスは少なすぎると一度の収穫で浅漬けにするほどの量を確保しづらい。

・サツマイモは、定植後一旦ヨレヨレになって復活した後は、結構な勢いで茎や葉が育っている。肥料を与えていないがトマトの例もあるので、ツルボケ予防のツル返しをする。